【これが鷹山さんだ】仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判 を観た感想を書きなぐる ※ネタバレ有
2018-05-21
こんばんは
仮面ライダーアマゾンズの映画を観てきたので感想を書きなぐります。
ちなみにこの映画は、アマゾンプライムビデオで配信された「仮面ライダーアマゾンズシーズン1・2」を見ていることが前提の映画なので、
ご視聴の際はまずそちらを見てみることをお勧めします。
(総集編的な形で別に映画化もされていますが尺の都合上大幅にカットされていると思うのでじっくり本編を観たほうが良いと思います)
ここから感想を書きますが、どうがんばってもネタバレが発生するので、これから見る人は注意してください。
というわけで、今回この映画が仮面ライダーアマゾンズ最終回という事で、
シーズン1から見守ってきた者としては観ないわけにはいかないということで、
片道1時間30分ほど車を走らせて遠方の映画館に行ってきました。
初めて行く映画館だったのですが運よくお客様感謝デーだったらしく、1100円で観ることが出来ました。
まず席に座って予告やらが流れるのですが、
みごとに子供向け映画の予告ばかり流れまして、
「仮面ライダー」というタイトルだけで流す予告決めやがったなという映画館側の先入観が垣間見えました。
ちなみに僕が見た回の入場者は約20人ほどで、みんなおっさん~半おっさんくらいの年代の男でした。
予想通り年齢高めの人が多かったのですが、
そもそもがこの映画はR指定の類が一切ついていなく、
Amazonさんよ・・・映画化するにあたって大衆向けするグロ要素少な目の無難な作風に鞍替えしちまったのか?
と少しだけ不安もありました。
ただその不安は開始30分もすれば消えてなくなります。
僕は視聴しながら思いました。
このシナリオを書いたやつは悪魔か・・・と。
まず、開幕4Cに追われる仮面ライダーアマゾンオメガこと水澤悠とその義妹水澤美月が逃亡の果てに保護されたのが、
養護施設と見せかけて人間の食料となる家畜アマゾンを畜産するアマゾン牧場。
アマゾンの食料じゃないです、人間の食料です。
そこで暮らす少年少女たちは皆草食のアマゾンなのですが、
金持ちの嗜みとして出荷されて食われます。
そしてその家畜アマゾンを量産しているのは、
仮面ライダーアマゾンアルファこと鷹山仁の細胞。
シーズン2のあの後捕まったようです。
シーズン2のラストで自らの子供(シーズン2の主人公)を手にかけた仁さんの細胞を使ってさらに子供アマゾンを量産するという鬼畜の所業が行われています。
(ちなみにポスターとかを観ればわかりますが仁さんの視力は回復しています。)
この人間がアマゾンを食べるためにアマゾンを畜産するという考え、
そして食べられるアマゾンと意思疎通、会話ができ食べられる本人は食べられることに喜びを感じているという設定は、
実にミノタウロスの皿だなと感じます。
ミノタウロスの皿とは、知ってる人は知っている知らない人は覚えてほしい、
藤子・F・不二雄異色短編集に収録されている読み切りマンガです。
ざっくりとしたあらすじを書くと、
牛と人間の立場が逆転した星に不時着した男が、人間の女性が食べられるのを阻止するために頑張るのですが、
結局女性は自ら進んで活け造りにされ牛たちに食べられて死んでしまう。
という話になります。
救いのない話として有名なのですが、
この話の救いは女性が自ら進んで牛たちに食べられて、その食べる牛たちもその女性に敬意をもって接するというところにあります。
厳密には出来の悪いものは粗末にあつかわれるのですが。
この映画もこれに近い設定ではあります。
悠と親しくなった家畜アマゾンのムクは、
出荷された先で仲間の家畜アマゾンが調理されたのちに「味がいまいち」と残されそのまま処分される様子を見てしまいます。
自らの命が粗末にされることに恐怖したムクは暴走しその場にいた人間を殺してしまいます。
(その場に居合わせていたシリーズ通しての悪い人橘局長はさらっと逃げます)
この辺がミノタウロスの皿と違うところで、
食事を粗末にすることへの罪悪感を見ている観客に強制的に植え付けます。
このあとアマゾン牧場の管理をしている仮面ライダーアマゾンネオアルファに変身する御堂英之助と激突することになるのですが、
この人がまた極端な人で逆上してほかの家畜アマゾンを皆殺しにしようとします。
しかもそれなりに強く、
シーズン2から使っていた悠のベルトは破壊されてしまいます。
仁さんは囚われたままだったのですが、家畜アマゾンの少年が助けてもらうつもりで開放してしまい、
結果的にアマゾン皆殺し男鷹山仁を野に放ってしまいます。
その直後仁さんは悠と生身での殴り合いを行うのですが、
なんやかんや仁さんは悠に「休んでろ」的なことを言い一人でネオアルファの元へ向かいます。
ここで悪魔的なシナリオがまた一つ書かれるのですが、
悠は自分の傷を癒すために瀕死のムクを食べます。
なんで!?
と観ていて思ってしまったのですが、
誰かの命の糧となって死ぬというのは、
ムクが本来望んでいた死に方であり、
早く仁さんを追いかけないと逃げたアマゾンが皆殺しにされる
という状況での決断なので合理的と言えば合理的です。
ただ、これまで感情に従って目の前の人もアマゾンも救ってきた悠がこの選択をしたのは結構ショックでした。
これまで覚醒したアマゾンをザックザック殺してきているので今更と言えば今更なのですが・・・。
そして仁さんとネオアルファのアルファ対決が繰り広げられるのですが、
この戦いの最期に発せられるとてつもない名言が帰宅途中ずっと頭から離れませんでした。
ネオアルファの「鷹山さんは人間を救うために戦っているから人間である俺は殺せない」
という主張に対して仁さんは、
ネオアルファの腕をぶった切り胴体にトンネルを作ったのちに、
「これが鷹山さんだ」
の一言。
文にすると全くわけがわかりませんが、実際に映画を観ていても全くわかりません。
聞き間違いかとも思いましたがどうやらそうではないようです。
なぜそのワードが口から飛び出した!?
とワードセンスの高さに驚愕してしまいました。
この辺はDVDを買うなりして繰り返し見るつもりです。
そもそも会話の内容から察するにこの二人は野座間製薬時代の知り合い(?)っぽい感じで、
アルファを名乗っている以上人間の身でアマゾン細胞を投与した存在なのだろうと思うのですが、
じゃあ人間として括るのは無理があるんじゃないかという疑問も正直あります。
ただ結果的に仁さんは人間御堂英之助を殺したことになるので、
自分に課した「人間は守るがアマゾンは皆殺しにする」というルールを破り一線を越えた事になります。
同じく悠も「守りたいものは人でもアマゾンでも守る」というルールを破り守りたい対象を食してしまったので、一線を越えた事になります。
最終的にこの一線を越えた二人は互いにゆずれないものの為に戦うことになるのですが、
結果を言ってしまうと仁さんが死んで悠は生き残ります。
勝負としては悠の勝ちという事になるのですが、
恐らく仁さんはこうなることを望んでいたのではないかなと。
仁さんはいわばアマゾンを皆殺しにしなければいけない呪いにかかっているので、
頭のどこかで良いアマゾンもいるとわかっていても殺さずにはいられませんし、
途中で「殺すことに未だに慣れない」という発言もありました。
シーズン2で妻も子供もその手で殺して、
自分が生き残ったことでさらにアマゾンが量産され、
それをまた殺すという連鎖に耐えられなくなっていたように思います。
悠に対して「休んでろ」的なことを言ったのも自分を殺させるためなのかなと思ったりもします。
シーズン2最終話で主人公千翼をシーズン1の主人公二人で殺したのは、
生きたいけど生きられない千翼への介錯であると理解したのですが、
今回は悠が仁さんの介錯をしてあげたという風に解釈しました。(かいしゃくだけに・・・)
結果的に仁さんは戦いの螺旋から外れ、
生き残った家畜アマゾンは美月が施設に残り面倒を見ることになります。
悠は戦いの後入水自殺しようとするのですが、
美月の幻覚を見て思いとどまりバイクでどこかへ去ってしまいます。
(そもそも悠が入水程度で死ねるとは思えません)
美月はアマゾンと人間が共生する環境を作ることで悠が帰る場所を作ってあげたかったんだと思います。
ジャパリパーク的なのが理想形だと思います。
美月が家畜アマゾン達と食事をするときに「いただきます」の大事さを再確認するのですが、
このシーンがあることでこの映画は一気に「子供たちにこそ見せなければいけない仮面ライダー」として完成した気がして、
とてもうれしくなりました。
ようは
ブタがいた教室の仮面ライダー版です。
ちなみにシーズン2のラストの橘局長の「新しいシグマプロジェクト」という発言は回収されませんし、
黒崎隊長が銃を置いて去ったから4Cをあの後辞めてる的なことは全くありませんでした。
黒崎隊長はいつも通り銃撃ちまくってます。
黒崎隊長と駆除班のコンビネーションフィニッシュはなかなか熱くて良かったです。
というかここまで書き忘れていましたが、
戦闘シーンは軒並みカッコいいのでそれを見るだけでも十分劇場で見る価値があります。
息子さんがいるお父さんは、
ちょっと荒々しい「食に関する教育」として劇場に足を運んでも良いのではないでしょうか。
エンドロールの新曲もとても良い感じで、
シーズン1・2の曲も少し流れて良い演出だったと思います。
(この曲はアマゾンプライムに加入していればフルで聴けるようになっています。)
今行けばポスターでもクリアファイルでもポストカードでもないでかめの厚紙がもらえます。
額に入れれば良い感じになるかもしれません。
強いて残念というかこうしてほしかったなというところを上げるならば、
仁さんの見る七羽さんの幻覚に最後だけで良いから千翼を出してほしかったなというのが本音ではあります。
そこくらいしかマイナス点は思いつかないので、いちファンとしては非常に満足できた劇場版でした。
これで最終回ということですが、
別になんか適当に後付けして続編出しても一向にかまわないので、
上手い事辻褄合わせて気が向いたら作ってほしいです。
というわけで終わります。
お疲れさまでした。